「私はあきらめています」という当事者の声からはじまりました。
K-DiPSの開発は、高知県で実施した「医療的なケアが必要な人たちへの災害への備え調査」がきっかけです。
この調査から、同じ疾患名でも年齢や合併症などで状態が異なる在宅療養者への対策が十分でないことが明らかになりました。
当時、当事者やご家族は「こんな状態では逃げられない」「自分の存在は世に認識されていない」「停電が長引いたら終わり」などや、ある難病の方は「トリアージタッグで言うなら私はグレー、有事には切り捨てられる」と憤っていました。
私は、当事者の詳細な情報を収集して、心身状態に応じた個別の災害対策を実現するためには、①本人の参画 ②担当の支援者の協力が欠かせないと考え、本人とご家族が担当の支援者と一緒に、自分の情報をまとめることができるシートを開発し「災害備えチェックシート」と名付けました。
さらに当事者情報の鮮度を担保するために、紙媒体の「災害備えチェックシート」を、iPadで入力が可能なSheetにして「K-DiPS Sheet」と改称しました。
K-DiPSは、Kanazawa and Kochi Disaster Preparedness System の頭文字をとったもので、高知の在宅療養者や専門職の皆様の協力で開発をスタートし、金沢医科大学の支援でさらに発展したことから金沢と高知のKを含めました。
その後、K-DiPS Sheetを用いた岩手県や鹿児島県、石川県での実証実験を経て、2020年11月にスマートフォンアプリK-DiPS Soloをリリースしました。
2022年春には自治体向けシステムK-DiPS Onlineをリリースする予定です。